maru くたくた日記

その1 初めての話


 近年、様々な果実が外国から入ってくるようになりました。
スターフルーツ、ドラゴンフルーツ、ドリアン---------
 もっとも、どれも食べたことが無いので、味はわかりませんが-----。


今日は、私にとって忘れられない、ある果実との出会いを書きます。

私が小学生のときでした。
買い物から帰ってきた母が、嬉しそうに、私に何かを差し出しました。
「前から気になってけど、高くて買えなかったのよ。
 1つだけ買ったから、2人でこっそり食べてみない?」
母の手には、褐色の、表面がぼこぼこした、握りこぶし大の見たこともない果実---
--そう、アボガドがありました。
「はじめての果実」で「父と兄には内緒」というスリル。
二人は正に、アダムとイブでした。
(母と子ほど年が離れてましたが------って実際その通りですが)

わくわくしながら、包丁で縦真二つに切ります。
途中で、包丁が何か硬いものにあたります。アボガドの切り方など、知る由もありません。
多少無理をしながら一気にかち割ると、
ライトグリーンの実と、茶色の薄皮をかぶったクリーム色の巨大な種が出できました。
「?」
最初の疑問が派生します。
「これって、どっちを食べるの?」 と母
「たぶん、種じゃ無い方---」と私
さっそく緑色の「種じゃない方」を、スライスして食べてみます。
青臭く、ゴリゴリしていて-----甘くない。
外国の果実=この世のものとは思えない甘さ----という考えの2人でした。

「これは、種の方を食べるんだ!」2人の当然の結論でした。
早速、実から種をほじり出し、またまた包丁でスライスして食べます。

「------------------」
消去法により、緑色の「種じゃない方」が食用との結論がでました-------。
しかし、納得できない アダムとイブでした。

と突然イブこと母が
「これ、フライパンで焼いたら、栗のような味になるのよ。 パンの実と同じよ!!」
止める間もなく、母はすでに焼き始めました。


--------------待つこと数分-------------------
多分違うと思いながら-------妙な臭いを放つ、表面に焦げ目のついた、スライスアボガドを食べてみます。
------案の定 違いました-------。
母は、塩をつけて食べはじめました。
私は、マヨネーズをつけて食べてみました。
マヨネーズという唯一の正解も、焼かれたアボガドには不正解でした。
念のため、スライスした種も焼いて食べてみました。
もっと不正解でした。

残ったアボガドはゴミ箱直行となました。
そして、アボガドは禁断の果実になりました。


十数年後、学生になった私は、テレビで、あることを耳にします。
"スライスしたアボガドを海苔で巻き、わさび醤油で食べると マグロのトロと同じ味がする"
このときは、さすがにアボガドの食べ方は知ってました。しかし、この食べ方は初耳でした。
早速、スーパーで買い求め、やってみました。
わさび醤油をつけた、海苔で巻いたスライスアボガドは---------------そのまんまの味でした。

何故って、"マグロのトロ"を食べたこと無かったからです。









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