1/3 ナウシカ製作記
VOL.1 顔編-------------1/1
フィギア等を製作する場合
製作手法は、大きく分けると、
"盛り派"と"削り派"の
2つに分かれます。
○"盛り派"はファンドやエポキシパテ、スカルピー等を
用いて、粘土を盛り上げていくタイプ。
○"削り派"はポリパテ、木材、等々を用いて
彫刻刀などにより 削り出していくタイプ。
で、私の場合は、完全な"削り派"です。
過去に色々な方の、人形の製作方法
本等々で見てみたのですが----
(私の見た限りでは)人体の柔らかさを表現し易いためなのか
"盛り派"の方の製作方がほとんどで、
"削り派"の私には 合いませんでした。
(単に私が ひねくれてるから?)
で、一時期、"木彫の仏像製作方"の本も見てみたのですが
-----レベルが高すぎて---とてもついていけませんでした(涙)。
というわけで、我流ながら、
"削り派"対応の人形製作方法を ご紹介したいと思います。
先にも書きましたが、私の場合、
人形の顔は"横顔が基本"です。
私の場合、
この横顔をきちんと作らないと、
製作する人形の顔は
絶対 モデルのキャラクター(ナウシカ)に似ません!!
というか、これをやっても、似ないのですけどね-----(涙)
Fig. 1-1
原寸大にプリントアウトした横顔を
耳の前で前後(顔と後頭部)に分け、
顔部は、更に顔中央部と、
頬の高さで切った部位に分けます。
Fig. 1-2
フォルモ(石塑粘土)を厚さ5mmに伸ばし、
完全に乾燥させ、粘土の板を製作します。
Fig. 1-3
前述の厚さ5mmの粘土製の板に
頭の各パーツを写し、
Fig. 1-4
カッターで 切り出します。
Fig. 1-5
木工用ボンドと
水に溶いたフォルモ(木工用ボンドより少し硬いくらい)を
同量程度に合わせた 接着剤を使用します。
(かなりアバウトで可(笑))
Fig. 1-6
粘土の接着面を 水で十分濡らしてから
前述の接着剤をたっぷり塗り
Fig. 1-7
接着していきます。
これは、頬の高さの線部分。
Fig. 1-8
顔中央部分を接着
Fig. 1-9
顔幅が少し足りなかったので、
粘土板の端材を、
両脇に貼りたしました。
表面を水で軽く濡らし、
前述の接着剤を全体に塗ります。
Fig. 1-10
各板の高低差を
フォルモで均します。
この時、目のラインと口のラインを
ハッキリさせておきます。
Fig. 1-11
後頭部を作ります。
端材から横板(写真右側)を切り出し
Fig. 1-12
同じく、粘土板の端材から作った
三角形の補強板を組み合わせて、
こんな形にします。
これを 先に作った 顔部に接着します。
Fig. 1-13
前述の接着剤で
しっかり接着します。
Fig. 1-14
後頭部は芯にスタイロフォーム(発泡スチロール)を
入れておきます。
Fig. 1-15
後頭部全体を
フォルモで覆います。
このまま、1週間位、
日陰で完全乾燥させます。
完全乾燥後、
顔の中央に
鉛筆でしっかり中心線を入れます。
Fig. 1-16
前述の顔の原寸図から
顔輪郭用のゲージをプラ板(1mm厚位)で作ります。
Fig. 1-17
ゲージをあてながら、 顔の輪郭を
左右対称に削り出します。
Fig. 1-18
次に、
額の側面を削り出します。
Fig. 1-19
原寸図より、 目の幅、口の幅を書き込み
Fig. 1-20
頬の側面を削っていきます。
Fig. 1-21
額と頬の面を
それぞれ、もう一段 面取りします。
Fig. 1-22
左右のバランスを見ながら、
全体に面取りをし、
均していきます。
Fig. 1-23
眼球を用意します。
(左右で2個分です。)
今回は、手芸店で購入した
直径14mmのパールビーズ
(真珠風のビーズ)
を使用しました。
眼球は、粘土にくっつかないように
サランラップ等で包みます。
眼球正面部には、
極力皺が寄らないようにします。
Fig. 1-24
目の形状を頼りに、
眼球を入れるため、
目の部分をくりぬきます
Fig. 1-25
眼球部の中央から
こんな感じに 鉛筆で線を入れ
Fig. 1-26
線に沿って少し削り、くぼませます。
(こうすると、完成後、目元が綺麗に見えます)
眼球を入れる穴の周りも
粘土の食い付きを良くするため
少し面取りをします。
Fig. 1-27
眼球を入れます。
この時、顔を下から見て、
眼球の高さが、
顔に対して左右均等であることを
確認します
Fig. 1-28
このくらいの量のフォルモを
丸く、薄くのばし、
Fig. 1-29
張り付けて、目蓋にします。
目蓋の周りを
ヘラでなじませます。
(乾燥したフォルモに
新たなフォルモを加えるときは
必ず 接着面を濡らしてください)
Fig. 1-30
竹串で、目を作ります。
Fig. 1-31
こんな感じです。
Fig. 1-32
反対側の眼も作ります。
Fig. 1-33
ちょっと、目と目の間が
近いかな------
このあと、目と目の間の距離
もう少し離しました。
(手順はFig.--〜Fig.---の作業を
リピートです)
Fig. 1-34
粘土板の端材から
こんな形を切り出します。
Fig. 1-35
張り付けて、耳にします。
接着部の段差は
フォルモを盛って、なだらかにします
Fig. 1-36
唇を作ります。
口の幅を3等分位に分けて、
Fig. 1-37
M字型に削ります。
Fig. 1-38
下唇は、もう少しフォルモを盛って
ふっくらとさせます。
Fig. 1-39
耳が完全に乾いたら
整形をします。
こんな感じに鉛筆で印を付け、
Fig. 1-40
こんな風に、耳の後側を
少し面取りします。
Fig. 1-41
正面から見ると
こんな風に
耳の端が少し寝た感じになります。
Fig. 1-42
耳のディテールを
鉛筆で書いたところで-----
鼻から額へとつながるラインが
不自然なことに気付きました。
フォルモを盛り、修正します。
Fig. 1-43
向かって右側の目蓋が不自然なので
フォルモを盛って 修正します。
Fig. 1-44
えーと
耳の製作に戻ります。
耳には、こんな風にディテールを
鉛筆で書き込み、
(少し Fig.--がリプレイしてます----)
Fig. 1-45
こんな風に、彫刻刀で
ディテールを彫りこみます。
Fig. 1-46
鼻と口に、こんな感じで
ディテールを入れました。
写真で正面から見ると
まだ少し、顔 歪んでましたね----(汗)
----詰が甘かったです。(涙)
二重瞼のディテールは
シャープさが欲しいので
キャストコピー後に彫刻刀で彫りこみます。
Fig. 1-47
原型の表面をサンドペーパーで磨き、
キャストコピー しました。
髪の毛の生え際を
鉛筆で描きます。
実は、ナウシカの髪の生え際ライン
以外に 資料無かったりします-----汗
アリエッティ(借暮らしのアリエッティ)が
大変参考になりました。
Fig. 1-48
頭をくり抜きます。
髪の生え際のラインに沿って
Pカッターで慎重に深く筋を入れた後
後頭部の一部を切り取り、
(後で再接着します)
彫刻刀(丸刀)でくり抜いていきます。
Fig. 1-49
やっと 終わりました。
切り離すのは
結構、力技だったりします------(汗)
Fig. 1-50
斜め前から見ると
こんな感じになります。
切り取った頭の部分は
先に切り取った後頭部を再接着し
全体に、厚さ5mm程度になるように
内側を削ります。
Fig. 1-51
アイ ホールを作ります。
ピンバイスで目玉の中央に穴を開けて、
Fig. 1-52
開けた穴を頼りに、
裏側から 彫刻刀(丸刀)で
削っていきます。
Fig. 1-53
眼球を製作します。
以前-----で紹介した眼球製作方法を
自分の性格に合った方法に、改良したものです。
直径14mmのパールビーズを
手芸店から購入しました。
パールビーズは、アクセサリー用という性格上、
(加えて、パール塗装という性格上)
球表面の仕上げは完璧です。
Fig. 1-54
ビーズ表面のパール塗装は
Mr.カラーの薄め液で落とすことが出来ます。
密封できるビンに、
パールビーズと、たっぷりの薄め液を入れて
一晩おくと、
Fig. 1-55
この様に、綺麗にパールの塗膜が剥がれます。
Fig. 1-56
薄め液から取り出して、
乾いた布で表面を良く拭き取ります。
直径14mmの樹脂製の
白い球が出来ました。
Fig. 1-57
瞳を描きます。
直径10cm位の円を画用紙に描き
水彩絵の具で色を付けます。
実際に使用するときは
本図をスキャナーで読み込み、
光彩の直径6mmにまで縮小するので
この程度の 下手な絵で大丈夫です----(汗)
Fig. 1-58
眼球の平らに削った部分に
丸く切り抜いた光彩を眼球の中央に乗せ
たっぷりの瞬間接着剤(低粘度タイプ)を盛りつけます
このとき、瞬間接着剤の液に気泡が無い事を確認します。
以前は、接着に Mr.カラーのクリアーを使用していたのですが、
MR.カラーが完全乾燥するまで、意外に時間がかかるためです。
(私は、性格 短気なのです。乾燥時間 待てませんでした---涙)
というわけで、接着剤を 瞬間接着剤に変更しました。
素早く、四角に切りだした1.7mm透明プラ板を乗せて
接着します。 この時も、接着面に気泡を入れないようにします。
Fig. 1-59
瞬間接着剤が完全に固まったら、
白い樹脂製の球の部分をキズ付けないように注意しながら
ヤスリで余分な透明プラ板を削っていきます。
Fig. 1-60
透明プラ板が、ドーム状に削れたら、
順に細かい耐水ペーパに変更しながら磨きます。
最後は1000番位の耐水ペーパーをかけ
コンパウンドで透明プラ板部を磨き仕上げます。
Fig. 1-61
で、この眼球製作方法の欠点は
プラ板の接着に瞬間接着剤を使用しているため、
瞬間接着剤が急激に固まる際、
おそらく、瞬間接着剤が体積変化を起こしているためでしょう。
瞬間接着剤の層に 僅かな亀裂(クラック)が入ります。
この亀裂(クラック)は、ある特定の角度から、
光が眼球に入った時のみ、キラッと光ります。
この写真で言うと、
瞳孔の上側に見える複数の白い点状のものです。
(写真では点状に見えてますが、実際は薄いガラスのヒビ状です)
Fig. 1-62
この写真の角度の方が分かりやすいでしょうか。
青い矢印が亀裂(クラック)部です。
この亀裂(クラック)はどうしても消えないので
実際には眼球 20個位同時に作ります。
すると、7〜8個に1個くらいの割合で
光の加減で一筋だけ "キラッ"といい感じに輝く
瞳が偶然出来上がります。
現状は、この偶然できる瞳を待っている状態です。
ああ、この製作方法 まだ、発展途上です。
------つづく------